186.採用業務の注意点
今回は採用で聞いてはいけない事や、内定取り消しについてなど、採用の注意について取り上げました!
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採用で聞いてはいけない事
弊所で最近行われた、採用活動やセミナー開催から得た学びについてお話しました。
採用選考時に下記a.b.の、適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することは、就職差別のおそれがあるとされています。
a.本人に責任のない事項の把握
例)本籍・出生地・家族・住宅状況・生活環境・家庭環境に関すること
b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
例)宗教・支持政党・人生観・生活信条・尊敬する人物・思想・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)・学生運動など社会運動・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
公正な採用選考の基本(厚生労働省HP) より一部抜粋
要するに仕事と関係ないことは聞いてはならないということなのですが、Podcast内ではさらに、
a.の例として、履歴書に書いてある住所からその周辺情報を聞き出すこと
b.の例として、愛読書に関する質問はその方の思想にかかわることからNGになってしまうこと
などたくさんの具体的な話をしております。
その他、
・男女雇用機会均等法に抵触する質問についてTwitterで話題となった、結婚や出産の予定を聞くこと
・以前に弊所スタッフが受けた面接で、お父さんの仕事や役職について聞かれた話
(上記a.に抵触)など様々なNG事例もとりあげました。
親しみをこめた会話のつもりであっても、実際はかなり気をつけて話さなければ無意識に就職差別へとつながるおそれがあります。
面接前にあらかじめ質問項目を設定したり、評価基準を決めておくことが大切ですね。
社内でいろいろな面接事例を検討して質問項目を設定することは、応募者の人権保護と共に、職務の遂行について何が大切であるのか?という会社独自の基準を明確にできる良い機会となります。
面接では自社の明確な基準を持って、応募してくれた方の人権に配慮しつつ、適正を見極める場となるようこの機会にぜひ話し合ってみてください。
内定取り消しについて
エスツー事件(東京地判 令3.9.29)という採用内定を取り消された留学生が損害賠償を求めた判例についてお話ししています。
まず内定の取り消しは思っている以上に難しく、内定を出した以上それは雇用契約に近いものとしてとらえなければならないということです。
もちろん入社後に解雇する方がもっともっと難しいのです。
しかし内定者というのは入社前なので会社に来ている状態ではありません。
連絡手段が限られる中でコミュニケーションを図らねばならないという問題があり、さらにその上で内定を取り消さないための努力(部署異動の検討等)もしなければなりません。
内定取り消しが認められず損害賠償しなければならなくなったりするなど、会社にとってかなり大きな痛手になってしまうことがあるかと思います。
今回お話しした採用活動と内定については、かなり慎重に考えて取り組むことが大切です。
恵社労士事務所ではこのような人事におけるお困りごとの労務相談も歓迎ですのでお気軽にご相談ください。
今週もぜひお聞きください!