189.バイトの有給休暇

189.バイトの有給休暇-人事・労務の豆知識
学生アルバイトの有給休暇付与・取得・金額の計算について

質問箱からお題を頂戴いたしましたので、バイトの有給休暇について熱く語りました。

今週も質問箱にお題を頂戴いたしました。ありがとうございます。

このお題をもとにお話をしていきたいと思います。

外国人の従業員さんへ退職時に説明する内容ついてのご質問

こんにちは。いつも楽しく聞いています。
独学で社労士の勉強していた時のお話、とても参考になりました。
今年初社労士試験を受けて残念ながら不合格だったので、また頑張ろうと思っています。
また ポッドキャストでアドバイスよろしくお願いします。

さて、質問させてください。
今月から外資系企業の人事にいます。
来週、11月に退職(海外支店に移籍のため)する外国人に退職説明をするのですが、その際、年金手続きについても話をすることになっています。
脱退一時金など、国内で厚生年金に加入していた外国人が知っておくべき知識があればぜひ教えてください。

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外国人の従業員さんへ退職時に説明する内容ついてのご質問にお答えします!


ありがとうございます!
独学で勉強をされるのか、それとも教室に通われるのでしょうか。
いろいろなやり方はあると思いますけれども、独学で行くのは自分との戦いになりますので頑張っていただきたいと思います。

ご質問の脱退一時金などについて。 
いまは本当に外国の方のお話が増えていて、外資系の会社さんからのお問い合わせとかも最近多くあります。
海外支店を出したり、そもそも海外支店がある会社さんですね。
そういったところで働く人に、どのように社会保険かけるのか?社会保険を控除するか?など、そういうご質問もよくあります。

このケースでは外国の方が日本の企業で働いていて、その方が海外支店に移籍するので、日本の会社から海外の会社の所属になるというようなことですね。
まず税金のことは、税理士さんに確認した方が絶対に良いと思います。

社会保険のことだけに限って言うと、ご本人が関係するのは下記の3種類+社会保障協定になります。

・健康保険
勤務地が日本の会社ではなくなるので、すぐに海外に行くのであれば退職で喪失です。
お引っ越しのために少し日本に滞在するのなら、国保などに入らなければならないこともあります。

・国民年金と厚生年金
これらの年金については脱退一時金をもらうかどうかを検討します。
もしまた日本で働く可能性があるのなら、プールしておいてもいいかもしれません。
脱退一時金の請求は、資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以上経過していないことが条件です。
もう日本に戻ってくることがないのであれば、早めに脱退一時金を請求したらどうでしょうかという話になります。

・雇用保険
海外支店に移籍するという、職が決まってるわけになりますので、もうそこで資格喪失して終わりということになりますね。

あとその他に社会保障協定についても調べたり知っておいた方がよろしいのではないかと思います。

お仕事と試験、頑張ってくださいね。

バイトさんの有給休暇についてのご質問

バイトさんの有給休暇ってどうされていますか?
時間の長短マチマチで日数もマチマチで不定期。
付与の仕方も難しく、取得も難しい。
バイトさんから有給下さい!法律で取れます!と言われた場合は有給休暇をあげなければならないとは思いますが、実際には取得してなくて、取得の申請もしづらい気がします。

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バイトさんの有給休暇についてお答えします!


これは本当にそうですね、アルバイトさんの年次有給休暇はクリティカルな回答ができないのです。
労働基準法における年次有給休暇の比例付与は、所定労働日数と所定労働時間が決まっている前提でつくられています。
もちろんアルバイトさんも労働基準法に守られています。
しかしアルバイトさんの所定労働時間や所定労働日数、これが決まっていない場合ですよね。
要は本人と会社の合意によって、毎月の労働時間と労働日数が変わるということです。

まず年次有給休暇とはどういった制度なのか、厚生労働省のサイトから引用します。

年次有給休暇とはー厚生労働省

特に学生のアルバイトさんなどは週何日間勤務するかなど、あらかじめ決まっていない場合があります。
その方の生活の状況によって、労働時間や労働日数を変更したいということですね。
この変更したいというニーズは労働者側にあります。
会社側から変更してくださいと言っているわけではなくて、ご本人がそういう働き方をしたいというアルバイトさんのニーズを酌んで、働き方を用意している状況なわけです。

このご質問におけるお話のポイントは5つあります。

1.勤務時間が短いアルバイトさんであっても、年次有給休暇の比例付与がある
2.全労働日の8割以上出勤についてのジャッジが難しい
3.アルバイトさんの週の所定労働日数が決まっていない場合、どう対処することが多いのか

4.年次有給休暇を取得させるタイミングについて
5.年次有給休暇中の賃金について

これらを順にご説明します。

1.勤務時間が短いアルバイトさんであっても、年次有給休暇の比例付与がある

通常の年次有給休暇は下記のように付与されます。

年次有給休暇の付与日数-厚生労働省

勤務日数や勤務時間が短いアルバイトさんであっても、年次有給休暇の比例付与という制度があり、下記のとおり年次有給休暇が付与されます。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数ー厚生労働省

2.全労働日の8割以上出勤についてのジャッジが難しい

ご質問の状況だとアルバイトさんの希望勤務時間や日にち、あと業務の兼ね合いでシフトを決めることになっているのだと思います。
こうなると全労働日の把握や、全労働日の8割以上出勤していることのジャッジも難しいですね。
ですのでこのケースのように労働時間や労働日数について不安定な決め方をしていると、混乱をするということなのです。

3.アルバイトさんの週の所定労働日数が決まっていない場合、どう対処することが多いのか

比例付与の表の右下※印で、「週以外の期間によって労働日数が定められている場合」と書いてあります。
今回のお話は、「週所定労働日数」などが決まっていないのですよね。
すなわち下の表の左から2列目にある「週所定労働日数」のどこに当てはまるのかが決められていないため、年次有給休暇を何日付与してよいかわからないということになります。
こういった方に対してどのように有給休暇を付与したらよいのかというのは、多分決まっていないのではないかと思います。

そのため結果的に6ヶ月働いた時点で何日勤務しているかを数えて年次有給休暇を付与している会社さんが多いのではないかと思います。
この方法はまずアルバイトさんが入社後6箇月経った時点で、雇入れの日から6箇月間の算定期間で何日勤務したのかを数えます。
6箇月間の勤務日数によって、下の表の左から3列目「1年間の所定労働日数」の半分の日数があれば年次有給休暇を比例付与する方法です。
例えば6箇月間で50日勤務していたことがはっきりしたら、50日の倍となる100日を「1年間の所定労働日数」とします。
そこで100日を、下の表の左から3列目「73日から120日」のところに当てはめます。
週2日の所定労働日数だった人と同じ、3日の年次有給休暇を6箇月間継続勤務した日の翌日(基準日)に与えるという方法です。

年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています-厚生労働省

4.年次有給休暇を取得させるタイミングについて

年次有給休暇というのは「休暇」ですから、労働の義務を免除された日になります。(187.振休と代休と割増賃金 参照)
すなわち労働の義務がある日にしか、年次有給休暇は取得できないということです。

今回の状況だと労働の義務のある日がいつになるのかいう事が、シフトが出ないとわからないですよね。
シフトが出たあとにアルバイトさんから「このシフトの〇〇日、年次有給休暇でお休みします。」と言われたら、会社さんはとても困ることになります。

それなので下記の流れで年次有給休暇を取得させる会社さんが多いのではないかなと思います。

アルバイトさんから希望を聞く
・希望シフトと一緒に年次有給休暇希望日を提出してもらう
会社さんは上記の提出を受けて
・年次有給休暇希望日をシフトには入れない
・年次有給休暇希望日を労働の義務のある日とする

それが一番スムーズな方法でしょう。

5.年次有給休暇中の賃金について

年次有給休暇中の賃金としていくら支払えばよいのか。
その根拠として、年次有給休暇を取得した日には何時間出勤したとみなせばよいのか。
これもまた問題なのです。
年次有給休暇中の賃金は就業規則その他これに準ずるもので定めることにより、以下の3つの中から選ぶことができます。

①所定労働時間分の通常の賃金
②平均賃金
③健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1相当額(労使協定が必要)

①こちらが一番良い方法だと思います。
しかし今回のケースのように労働時間の長さがマチマチで所定労働時間が決められない場合、あまり現実的ではない気がします。
例えば所定労働時間を3時間と決めてしまうと、会社さんの都合で2時間しか働けない場合に1時間分の休業手当が必要なのではということになりかねないからです。

②はこの方法を選ぶ会社さんが多いですね。
なぜかというと、平均賃金はすごくフェアなかんじなのに会社さんに有利だからです。
平均賃金といえば、3箇月の賃金総額をその期間の出勤日数で割るとイメージされます。
しかし平均賃金は3箇月の賃金総額をその期間の総日数(暦日数)で割ることになっております。出勤日数ではなく、総日数で割ることが原則なのです。
そのため1日働いてもらえる金額よりも下がります。

上記の方法では月の出勤日数が少ない方にとっては低額となってしまうため、最低保障として下記の方法で算定されることもあります。

しっかりマスター労働基準法 有給休暇編-東京労働局

③の標準報酬月額というのは社会保険を計算するときに使います。
ただ学生アルバイトさんは基本的に社会保険に入っていないことが多いですね。
標準報酬月額相当を30分の1すると、②平均賃金の場合と同じで年次有給休暇中の賃金がすごく低くなってしまうという人もいらっしゃるのではないかなと思います。

①~③について、どれを選ぶかは会社さん次第になります。
最初にお話ししたとおり、この方法が良いというクリティカルな回答は難しいのですが、社労士としては会社さんと話し合って現実的なところで年次有給休暇中の賃金を決めていくことになります。

質問箱へのご質問やお問い合わせフォームからのご相談も大歓迎ですので、お気軽にご連絡ください。

今週はここまでになります。

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