192.確定拠出年金について解説してもらった その2

192.確定拠出年金について解説してもらった その2-人事・労務の豆知識 Podcast

今回は、前回に引き続き、確定拠出年金に詳しい先生をゲストにお呼びし、制度設計や法改正についてお聞きしました!

確定拠出年金のご相談は→社会保険労務士オフィスきむら 木村 竜也 先生へお問い合わせしてみてください。

今週は先週に引き続きゲストの社会保険労務士の木村 竜也 先生にiDeCoや確定拠出年金のお話を聞いております。
後半はですね、改正の内容やそれに対するメリットなどのお話を中心にお届けしております。→前半からご覧になる方はこちら
ここからは木村先生からのお話しをお届けします。

質問箱のご質問内容

ご質問の内容

いつもためになるポッドキャスト、ありがとうございます。
毎回楽しみにしています!

2022年10月からiDeCo制度が改正になったと聞きました。
新聞などで読んだのですが、なかなか理解できません。
そもそも元の制度もわかりにくくて・・・

どんな改正なのか、どんなメリットがあるのか
人事担当として知りたいです。
ぜひ詳しく教えてください。

確定拠出年金の制度設計と退職金制度トレンドの変遷

前回お話しした内容から少し振り返ります。
会社さんが退職金支給を目的として確定拠出年金の企業型である、企業型DCを取り入れるとお話ししました。
これは例えば会社さんが月々の事業主拠出をその役職に応じて、一般職の方は3000円、係長は5000円、課長は7000円、部長は10000円というように、金額を変えて拠出することがあります。
年齢や勤続年数、役職を総じて勘案されるというように、会社さんによって各々基準を決めて拠出するというのが一般的な制度ですよね。
このようにして企業型DCの事業主拠出としてもらった金額を、従業員さんがどのように運用していくのかは一人ひとりに任せる、という制度設計をしているわけです。
これが確定拠出年金・企業型DCであり、 いまのトレンドであると申し上げたところです。

その前のトレンドは、確定給付企業年金・DBと呼ばれるものでした。
この確定給付企業年金・DBとはどのような制度であるかというと、給付額を確定する制度です。
給付額を確定、ということは退職する時に退職金がいくらもらえるかというのを決める制度だということですよね。
その決められている退職金の金額を目指して、会社は資金運用していくわけです。
しかしこれは簡単にいうと、その決められた退職金を支払わなければいけない義務を負うということで、会社さんの債務になります。
債務というのは、会計上できれば持ちたくないものです。

そこで前までの確定給付企業年金・DBというトレンドから、後発となる確定拠出年金・企業型DCが債務を持たずに退職金の制度を構築できるものとしてトレンド化してきました。

市川先生から確定拠出年金・企業型DCのトレンド化は、リーマンショックなどの時代背景も大きな理由のひとつではというご発言がありましたが、その通りだと思います。
そして大企業がこぞって確定給付企業年金・DBから確定拠出年金・企業型DCへとシフトしていったわけですが、その中で法改正のポイントとなる事がひとつあります。
このポイントとは、企業型DCとiDeCoの併用についてです。
それでは、次はいよいよご質問の法改正のお話に入ってまいります。

2022年10月法改正の概要

ここでご質問の、2022年10月法改正とそのメリットについてのお話に入ります。
一般的な企業型DC制度の設計について、法改正の解説をいたします。
(※中小企業さんにおかれましては先に例示した設計とは異なるものとしての「選択制」の企業型DCを採用していることが多く、法改正のメリットがそのまま当てはまらないこともありますのでご注意ください。)
今回の2022年10月法改正前は、労使合意のもと企業型DCの規約にiDeCo併用可の旨をきちんと定めていないと、企業型DC加入者である従業員さんはiDeCoに加入できませんでした。

2022年10月法改正前はiDeCo併用可の規約がない限りは、企業型DCとiDeCoの併用はできないというルールだったということです。


そのiDeCo併用可の規約を定めていない大企業さんもいっぱいありました。
そうなると、どういう事が起こるのか。
例えば企業型DCを実施しているけれども、iDeCo併用の規約を定めていない会社さんがあったとします。
その会社さんが、従業員さんに対して毎月3,000円の掛金を企業型DCに拠出しています。
それはありがたいことではありますが、iDeCo併用可の規約を定めていないため、その従業員さんは毎月3,000円しか確定拠出年金をかけられない。
iDeCoをやりたくてもできない、という問題が法改正前は発生していました。
前回お話しした通り、税制的なメリットもあって運用益もゼロなので、もっと確定拠出年金にかけたいという方々を救えないものか。
その救う手段が今回の2022年10月法改正だったわけですね。

今回の法改正のメリットはiDeCoに加入・利用しやすくなったことです。

ここまでお話しした通り、今回の2022年10月法改正で企業型DC等加入者のiDeCo加入要件が緩和されました。
企業型DC等とiDeCoを併用する際の、掛金の拠出限度額は以下の通りとなります。

厚生労働省HPより抜粋(※筆者一部修正)
これまで企業型DC加入者のうちiDeCoに加入できたのは、拠出限度額の管理を簡便に行うため、iDeCo加入を認める労使合意に基づく規約の定めがあり、かつ事業主掛金の上限を月額5.5万円から月額3.5万円(確定給付型にも加入している場合は、2.75万円から1.55万円)に引き下げた企業の従業員に限られていました。
 
2022年10月からは、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築することで、企業型DCの加入者は規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに原則加入できるようになります。
ただし、企業型DCの事業主掛金額とiDeCoの掛金額は、それぞれ上の表のとおりであることに留意が必要です。
また、企業型DCの加入者掛金の拠出(マッチング拠出)を選択している場合や、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、iDeCoには加入できません

今年のその他法改正について

細かいことを申し上げると、2022年3月4月5月にも法改正がありました。
2022年3月→企業型DCにかかる業務報告書の見直し(2022年3月1日施行)-厚生労働省
2022年4月→受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月1日施行)-厚生労働省
2022年5月→企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大 等(2022年5月1日施行)-厚生労働省

この法改正は公的年金と一緒で、確定拠出年金の老齢給付金受け取り開始時期の上限が75歳まで延びたりしました。
あとは雇用継続措置もいまは65歳が義務ですが、将来を見据えて70歳にまでなるだろうというところで、企業型DCの加入期間が70歳までに拡大されていたりします。
iDeCoの加入期間は65歳までに拡大となりました。

市川から木村先生へご質問

ここまではご質問の内容にお答えしてまいりました。
その中で市川先生からもご質問がありましたので、お答えしてまいります。

2022年10月の法改正は、確定拠出年金を企業型DCで会社でかけられているから、iDeCoはできないと思っていた方々も、両方できるようになったという改正でしたね。
ところでiDeCoをやりたかったら、その窓口は銀行なのですか?

はい、ご質問のiDeCoの窓口は、銀行や証券会社等の金融機関ですね。
ネット証券であれば、スマホ上でも申し込みができたりします。

iDeCoをやりたいなと思っている方は、検索エンジンから「iDeCo  モーニングスター」と検索してみてください。
モーニングスターは、金融商品の食べログみたいな感じのサイトです。
その中に金融機関比較ガイドというのがあって、iDeCoを取り扱っている金融機関の比較ができます。
iDeCoは拠出する金額の他に、手数料が掛かります。
その手数料はどこの金融機関が安いのかなどを見ることができたり、色々な所でソート(並べ替え)ができたりもします。
もっと言うと毎月10,000円をiDeCoに拠出するとなったときに、どこの金融機関でも拠出する10,000円は変わらないですが、手数料は変わるということです。
そして金融機関に運用商品が何本あるのかもモーニングスターでわかりますので、ぜひご覧になってみてください。

モーニングスターのような、比較サイトがあったりするのはたしかにいいですね!
あとiDeCoは毎月の掛金の金額が決まっていますよね。
被保険者ごとに掛金の金額が違うのはなぜなのでしょうか?

そうですね、確定拠出年金は被保険者ごとに掛金の金額が決まっています。


例えば上記の図にありますように、国民年金の第一号被保険者の掛金は月額68,000円が上限です。(※国民年金基金等との合算枠)
国民年金第二号被保険者のように厚生年金や企業型DC等がない、というのは結構大きいですよね。
そのため国民年金第一号被保険者というのは、掛金上限の枠が大きくなります。

※下の図をご覧いただくと、人によって老後の備え等に対してできることの違いがイメージしやすくなるかと思い、追加しております。(2020年の資料になります。法改正で公的年金の拡大等がございますので、(注)も留意のうえご覧ください。)

人事・総務担当の皆様が知っておいたほうがいいこと

ここまで確定拠出年金制度の概要や、法改正のお話などをさせていただきました。
最後に人事・総務担当の皆様が知っておいたほうがいいことをお伝えできればいいなと思っております。

先ほども申し上げた通り、確定拠出年金やつみたてNISAはトレンドですよね。
YouTubeなどを開くとこれらは結構出てきます。
この10月に法改正があったことによって、自社の従業員さんから「iDeCoってどうなの?」とか「うちの会社には企業型DCはないの?」というご質問やご相談をされたりすることもあるかと思います。
そのときの想定問答を用意しておくべきだと考えています。

自社で企業型DCがあるのかないのかは、大きな違いじゃないですか。
企業型DCがなければ、従業員さんにiDeCoを薦めてあげたほうがいいですよね。
そしてiDeCoを薦めるにしても、iDeCoについてわからないとお答えできないので、iDeCoの総枠や仕組みは掴んでおいてほしいなということです。
その中で先ほどのモーニングスターのお話をしてもらったりとかですね。

会社さんに企業型DCがあるというのであれば、今度はiDeCoとの併用という問題が出てきますよね。
そうすると企業型DCがいいのかiDeCoがいいのか、というご質問が必ず出てくると考えてどちらがいいのかという答えも持っておくといいのかなと思いました。

企業型DCの制度自体は先ほどご説明した、事業主拠出を上乗せするという制度なので、シンプルでそんなに難しくはないです。
しかしその設計をするのは結構難しくて、いろいろな設計や導入方法があります。
選択制の確定拠出年金やマッチング拠出という言葉は聞いたことがあると思います。
このようにいろいろな設計の方法があるので、その時のメリットやデメリットというのは結構出てくると思います。

選択制の確定拠出年金を導入している企業も多くあると思います。
この選択制の場合は、社会保険料が圧縮される場合があるため公的保障の保障額も減額される場合もあることに注意しましょう。
自社の企業型DCとiDeCoのそれぞれのメリットデメリットを比較しなくてはいけないかもしれません。
従業員のみなさんに正しくお伝えすることが必要です。
自社の制度設計によっても、今回の法改正の影響は異なるために今一度制度を把握し、この制度のメリットを活用してもらいたいと思います。

この回だけでは伝えきれませんが、何かあればおっしゃっていただければご相談に応じます。
本日はありがとうございました。

木村先生、全部の質問にお答えいただきありがとうございました!
確定拠出年金などの導入を考えていらっしゃる方は、木村先生の事務所はこちらになりますので、ぜひお問い合わせしてみてください。

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今週はここまでになります。

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