193.同じ人でも給与が変わるってあり?

193.同じ人でも給与が変わるってあり?-人事・労務の豆知識 Podcast

今回は、質問箱からお応えしています。
①時間帯で時給が異なることってある??
②欠勤控除の金額はどう計算する??
良い質問をありがとうございます!!

1つ目のご質問内容

(1)有期雇用職員さんの日給の決め方について

ご質問ありがとうございます。
有期雇用職員さんについて、ご質問の(1)が日給、(2)が時給の決め方のお話ということでよろしいのかなと思います。

まず(1)のほうからお話ししていきます。
日給制の有期雇用職員さんについてですね。
ご質問の書き方だとおそらく日勤・準夜勤務・深夜勤務で、それぞれ何時から何時までのように時間がちゃんと固定で決められているシフト制などなのかな、という感じでしょうか。

まず基本として日勤・準夜勤務・深夜勤務の労働時間が1日8時間以内で同じ時間帯だという前提でお話しします。
1日8時間働くとなっていたとしたら、それは当然その職員さんがどのシフトに入っても同じ日給になりますよね。
ただこの中で、準夜勤務・深夜勤務は深夜時間帯に入っていますので、その部分の深夜手当は必要になります。
このご質問の意図が日給が同じでよいのかということあれば、もちろん日給は同じでよいです。
しかし深夜時間帯の部分、深夜業割増(法律で定めがある2割5分以上)の手当を含んで同じ日給にしてよいのかと言われたら、だめですね。

準夜勤務・深夜勤務は日給に深夜時間帯の深夜業割増手当を上乗せして支払わなければなりません。

もし労働時間が違う場合、例えば日勤は労働時間が7時間で、準夜勤務は10時間のような形で1日の労働時間が違えばやはりその日ごとに当然日給の金額は変わってくると思います。
ただ1日の勤務で、何円ですよという風にしている業界は結構あります。
例えば1勤務8,000円とかで決まっていて、その1勤務の中で仕事が終わったら退勤してよい、というような感じです。警備業に多いかなと思います。
例のように1勤務8,000円の中で、3時間でも5時間でも同じ金額とするような感じの業界もあります。
その場合は働いている方も、何時間働いたから何円ではなく、1日働いたら何円というつもりでいます。
こういった会社における日給の制度設計としては、8時間分の給料として何円を出しますよというような設計になっており、途中で帰っても控除はしませんというようなことになっているのが多いのかなと思います。

そのため制度の作り方によっては、日給を同じ金額にして、シフトによって時間帯が違っても、1勤務何円という制度設計をすることはできると思います。
ただ深夜業割増は当然ありますので、同じ日給にした場合には深夜時間帯の深夜業割増手当も加味して検討しなければいけませんので、そこに注意が必要となります。

(2)時給の決め方について

それでは(2)の時給の決め方のお話にまいります。

こちらは深夜時間帯の時給を+100円とかにしている場合があるけれども、それはどういうやり方にすればよいのかというお話だと思います。
要は時間帯によって時給を変更させてもよいのかというご質問なのかなと。

ファミレスなどに置いてある深夜の時間帯についての求人の時給を見ると、だいたいが単純に時給の2割5分増になっているケースが多いですね。
例えば時給1,000円で深夜22時から翌朝5時までは1,250円、という形で書いてある場合です。
それはおそらく深夜の時間帯は深夜業割増の2割5分を乗せてこの時給ですよという風に、単純に書いてあるだけなのではないかなと思います。

ただ最近は人が集まらない時間帯に対して、この時間帯は時給+100円のように書いてあるものも、たまに見かけます。
それはそれで大丈夫なんですよね。
しかしこのように時給自体を+100円にして、この時間帯は人が集まらないから時給1,100円で募集しますとした場合は、その時間帯に深夜業の時間が重なるのであれば時給1,100円に2割5分増の深夜業手当275円をつけて、深夜業の時間帯は時給1,375円にしなければいけないと思います。

時間帯によって時給を変えるというのは、有りか無しかでいえば有りですね。
人が集まらない時間帯などに時給をプラスする制度は別に問題ありません。
ただそれをしてしまうと、下記のようにその時間帯のプラスされた時給分単価が上がるので、それをもとに計算された深夜業割増の手当も上がってしまうわけですね。

+100円しない時間帯→時給1,000円で深夜業割増手当は250円→合計1,250円支給

+100円する時間帯→時給1,100円で深夜業割増手当は275円→合計1,375円支給

このようにちょっとややこしくなります。
給与計算の方法を慎重にやる必要が出てくるということです。

弊所で給与計算をさせていただいているところでも、時間帯によって時給が変わるところはあります。
その場合は時間を区切って何時から何時までというように、例えば朝晩手当や深夜手当という形で、手当の部分だけ別計算しておりますね。

それから更なる問題は、残業などの時間外労働割増ですよね。
残業時間が時給+100円などの時間帯にかかっていたら、その時間外労働割増の手当も時給+100円をもとに2割5分増しないといけないなど、色々あるので給与計算をする側は大変になります。
以上がひとつ目のご質問の答えとなります。

2つ目のご質問内容

欠勤控除するときの所定労働時間について

もうひとつご質問を頂きましたので、そちらも取り上げさせて頂きます。
ご質問ありがとうございます。
これは基本的なことのように見えてそうではないのですね。
そして会社による、というお答えしかできないのです。

欠勤時の控除についてはいろいろな方に関係があるお話なのにも関わらず、会社さんによって控除の基礎となる計算方法が違うため、決まった方法はないというところなんですね。

前提として、給与計算の設計は会社さんによります。
まず最低賃金以上を支払えばよく、その他法律に抵触しないようにしていれば会社さんが自由に設計していいわけですね。
そのため基本給が同じなのにも関わらず、会社さんによって欠勤控除の結果が違うということは、ダメなことではないのです。

まず月給制には下記の2種類があります。

・完全月給制→賃金が月額で決められており、欠勤控除はしない

・日給月給制→賃金が月額で決められており、欠勤した場合は欠勤控除される

今回は欠勤控除されるとのことで、日給月給制のお話となります。
欠勤控除をするときに考えなければならないことは、1日欠勤したときに控除する日給はいくらになるのか?ということです。
欠勤控除する日給は、月給÷欠勤した月の所定労働日数で求めますよね。
例えば月収20万円の方がひと月に20日間働いていた場合、20万円÷20日間=1万円が1日あたりの欠勤控除となるように。
しかし同じ日給月給制の会社さんであっても欠勤控除の結果が違うことがあります。
それはなぜかというと、上記例の20日間の部分にあたる、月所定労働日数の考え方に会社さんによる違いがあるからです。

先ほどの例にもあるように月所定労働日数は、ひと月に何日間働くのかという日数のことです。
その月所定労働日数の計算について

①週休二日制の場合に休日の定めが、土日のみなのか・土日祝なのか

②月所定労働日数の計算を、月ごとに計算するか・月平均で計算するか

これらの会社さんの考え方の違いによって、欠勤控除の結果に違いが出てくるということになります。

①週休二日制の場合に休日の定めが、土日のみなのか・土日祝なのかについてご説明します。
休日について土日のみと土日祝とでは、計算すると年間休日の日数に当然差が出てきます。
年間休日についての計算は、まず1年間に何週あるのかを求めます。
365日÷7日=52.142・・・52週とちょっと、というところです。
こちらは小数点を切り上げて、53週になります。
例えば月~金曜は1日7時間労働、土曜は1日5時間労働などで、法律上最低限の休日である毎週少なくとも1日の休日を設定するのであれば、53日の休日が必要ということになります。

1日8時間労働で週休二日制だと、52.142・・・の倍となる、104.285・・・の小数点を切り上げて、105日の休日が必要になります。
こちらの計算で休日を104日としている会社さんがありますが、105日に切り上げなければならないことに注意をしてください。
この105日は土日のみ休日だった場合です。

これに祝日を足すと、年にもよりますが約120日ほどが休日になります。
365日から休日を引いた日数が年間の所定労働日数になりますが、年間休日が105日(土日)と約120日(土日祝)だと、月所定労働日数の計算にも差が出てくるということがおわかりいただけると思います。

土日祝休みの方が出勤日数が少ない、すなわち年収が一緒だったとしても、土日祝休みの方のほうが土日休みの方よりも日給が高いということになります。
ただし、この土日祝の休日約120日にはお盆休みや年末年始休みを含んでいないため、これらを足すと約125日くらいにはなると考えてよいでしょう。

次に②月所定労働日数の計算を、月ごとに計算するか・月平均で計算するかについてご説明します。
例えば同じ土日祝休みのA社とB社があった場合に
A社は月ごと
B社は月平均
で所定労働日数を計算していたとします。

A社は月ごとに計算するため、ひと月の暦日数が28日~31日、休日も月によってばらつきがあります。
そのため月所定労働日数も月によって異なります。
月所定労働日数が20日の月もあれば、22日の月もあるというようになってきます。
この場合だと、月によって日給が違うということになります。

B社は年間休日から月平均を計算します。
例として年間休日が125日だった場合、365日-125日=240日が年間所定労働日数となります。
これを月平均の所定労働日数にすると、240日÷12月=20日になります。
1月~12月のどの月も月所定労働日数が同じになり、この例においては20日として計算します。

このように欠勤控除する際のもとになる月所定労働日数の計算方法がA社とB社で違うので、欠勤控除の結果が変わってきます

こういったことから、はじめに申し上げたとおり会社によるということになります。

固定残業制とは

ここにご質問にある固定残業代のお話が乗ってくるとまたややこしくなります。
そもそも固定残業制というのは、どういった制度なのでしょうか。

定額残業制(固定残業制、みなし割増賃金制)とは、法律に明文規定はありませんが、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働に対する割増賃金をあらかじめ定額の手当等の名目で、あるいは基本給の一部として支給する制度をいいます。

時間外労働手当に代えて一定額を支払うという定額残業制は、労基法所定の計算方法による金額以上の金額を支払っていれば、労基法第37条に違反しませんが、基本給の中に含めるといった場合には、割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とを明確に区別することを要します。法定休日労働の割増賃金相当分、深夜労働の割増賃金相当分についても同じです。

定額の手当等の名目で支給される場合は、それが残業手当の定額払いであることを就業規則等に明記することが必要で、実際の残業時間から計算した時間外手当より定額の支給額が低い場合はその不足額も合わせて(つまり、実際に計算した時間外手当)を支払うことが必要です。なお、実際の残業手当と定額の支給額との過不足を翌月に繰り越して相殺することはできません。

「しっかり学ぼう!働く時の基礎知識 5.定額残業制」より抜粋ー厚生労働省(筆者一部加筆修正)

欠勤控除における固定残業代の取扱いについては、下記の2種類があります。

①基本給の部分だけ欠勤控除する
②基本給+固定残業代を欠勤控除する

①の基本給だけを月所定労働日数で割った方が、1日あたりの欠勤控除をされる金額が低くなります。
②の基本給+固定残業代を月所定労働日数で割って、1日あたりの欠勤控除を行っても何の問題もありません。

ただし、固定残業制を採用するときにはすごく気をつけなければならないことがあります。

これらは求人のときだけではなく、会社さんの規定や給与の支給明細などにも明示しておいたほうが良い項目です。

固定残業制について必要な条項を定めて明示していないと、トラブルがあって訴えられた時に不利になりますので注意が必要です。

次は固定残業制度を導入した会社さんが、欠勤控除について固定残業代を含んで行う場合の注意点を解説します。

固定残業代を含んだ欠勤控除について

欠勤控除について固定残業代を含んで行う場合の注意点は、固定残業代の設定日ごとに設定しているか、月ごとに設定しているかで話が変わってきます。

まず固定残業代の設定を日ごとに設定している場合。
月所定労働日数20日
1日8時間労働
1日2時間の固定残業代支給
この設定の会社さんで1日欠勤した場合は、単純に通常の8時間+固定残業の2時間の分を控除するので問題はありません。
※裁量労働制の場合はみなしを1日の労働時間として決めるので、こういう日ごとの設定をしていることが多いです。それは実際の出勤日数が22日になったときに、固定残業時間を月ごと40時間などという設定をしてしまうと足りなくなってしまい、現実的ではないためです。1日2時間の固定残業時間を22日分として、ひと月あたり44時間で固定残業時間を設定している場合が多くなります。

次に固定残業代の設定を月ごとに設定している場合。
月所定労働日数20日
1日8時間労働
ひと月40時間の固定残業代支給
この設定の会社さんで1日欠勤した場合は、注意が必要です。
なぜなら月間でトータルの残業時間を計算して、そのあとに単純に40時間分を引いて超過残業代の計算をしていることがあるかもしれないからです。

例えば月間でトータルの残業時間が41時間になってしまった場合。
欠勤がない月なら、41時間-40時間=1時間が超過残業代となります。
ここで欠勤が1日発生した月だと、40時間÷20日×19日=38時間が欠勤した月の固定残業時間となり、変動することになります。
そのため上記の計算の手間が増えて、41時間-38時間=3時間が超過残業代となります。

欠勤の日数によって固定残業時間も、減らさなければいけないのです。

これは固定残業制を採用して欠勤控除する際に、通常の賃金(19日)・固定割増賃金(38時間)・超過割増賃金(3時間)を給与の支給明細等に明示する必要があることから必要な工程となります。
給与計算で気を使わなければならないところになりますし、会社さんによって、これはできる・できないもあるのではないかということです。

そのためそこは本当に会社による、ということになりますのでしっかりと気をつけて設計したほうがよいと思います。
会社さんの給与規定や賃金規定などを確認してみてくださいね。

今週はここまでになります。

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