195.夜間の当番の話

195.夜間の当番の話-人事・労務の豆知識 Podcast

夜間に携帯電話をもって、トラブル対応の当番のお仕事があったりする会社、多いのではないでしょうか。
その時間は労働時間になるのでしょうか??
今回は判例も含めて、どう考えるかをお話しします!
参考:https://www.rodo.co.jp/precedent/142336/2/

労働時間の判断について

労働時間と一言でいっても不活動時間と思われる準備時間や仮眠時間、手待時間や待機時間など、こういった時間は労働時間に含まれるのか疑問に思うところだと思います。
今週は労働時間とはどういった時間のことをいうのか?について取り上げていきます。
Podcastでは待機時間について、YouTubeでは準備時間などについて解説しております。

まず労働時間の定義について、厚生労働省のHPに記載があります。

労働時間についての判例は過去に様々あります。
特に不活動時間については労働時間にあたるのか、これは会社さんの状況などによって異なるところであり判断も難しくなります。
次はその判断基準の一例となる最近の判例についてお話しします。

システムメンテナンス事件についてご説明

待機時間について最近出た判例、システムメンテナンス事件(札幌高判令4・2・25)について取り上げます。
こちらの目次3と次の目次4の部分について、システムメンテナンス事件(札幌高判令4・2・25) 夜間当番の呼出待機、行動自由で残業代なし? 事務所滞留中は指揮命令下ー労働新聞社HPを参考にさせていただきました。

当番が夜間にも携帯電話を持って、トラブルがあった時にお客様からのお問い合わせなどに対応することになっている、このような当番制度がある会社さんは結構多いと思います。
そういう場合に、待機している時間が労働時間なのかどうか?というお話ですね。

こちらの判例は高裁ですので、控訴された場合には最高裁で判断が変わる場合もあるという前提のもとお話しします。

最近は機械式の駐車場が多いですよね。
その機械に不具合などがあったとき、電話ができる問い合わせ先があったりします。
お客様からのお問い合わせがきた時には現場へ向かって対応しなければならない場合があって、そのために待機している当番があったということです。
夜間等にお問い合わせがあった場合は、会社の留守電から当番従業員さんの携帯電話に転送されていたようです。
終業時間後もしばらく、「今日は当番だから」ということでしばらく事務所内にいて、そのあとも携帯電話を携行して社用車を使って帰宅。
当番の日は現場対応の可能性があるため、遠方へ出かけたり、飲酒することは禁止されていました。
お問い合わせを受けて必要な場合は現場対応するように求められ、その日は帰宅後も携帯電話を持って待機しているというような内容だったそうです。
その場合、休日の日中については実作業の有無に関わらず、休憩時間を除くすべての時間分の割増賃金が支払われていました。
平日や休日の夜間については、実作業時間等の割増賃金のみが支払われ、実作業をしていない待機時間に対する割増賃金を支払われていなかったそうです。
つまり携帯電話を持っている時間すべてにお給料が発生したわけではなかった。
呼び出されて実際に作業した時間に対してはお給料が発生したけれども、待機してた時間については特に何も支払ってなかったということですね。
従業員さんからすれば、終業時間後も携帯電話を持っていたし、いつ呼び出されるかもわからない。
しかも場合によっては絶対に現場へ行かなければいけない、と決まっている。
これは労働時間だよねということで、提訴した事件です。

事件の結論

このシステムメンテナンス事件の第二審・札幌高裁での判決内容については下記となります。

事務所待期の時間→労働時間として認められた
事務所以外の待期の時間→労働時間として認められず

第一審では、携帯電話を持っていたとしても終業時間のあとは自由時間なので、その待機時間は全て労働時間ではなかったという判断となりました。
勤務終了後、しばらく事務所内でネットで動画を閲覧したりコンビニに出かけたりするなど、自由に過ごすことができていたみたいですね。
そのため事務所の中には居るものの、終業時間のあとの時間は休憩時間みたいなものだから労働時間ではないという使用者側の主張が通ったようです。

それを不服として労働者側が控訴しました。
第二審では、労働者側は終業時間後もしばらく事務所の中に居て、その時間は呼び出されたらすぐに駆けつけられる状態をキープしていたこと、使用者側は終業時間後もしばらく事務所内で待機しているのを知りつつも、帰宅の指示も出さず容認していたということで使用者の指揮命令下にあったと判断されました。
このことから第二審では、労働者側が事務所内に居て自由に過ごしていた時間について労働時間として認められました。
その後に社用車で外出・帰宅して携帯電話を持っている時間については、下記の判断で労働時間ではないとされました。
・実際に携帯電話が鳴った回数が少なかったこと
・現場に到着して作業を終了するまでに要する時間も多いとはいえなかった
・遠方への外出や飲酒は禁止されていいたものの、私生活に大きな制限を受けていたとまでいえないこと 等
これらのことを総合的に判断して、事務所以外で待機していた時間帯については、使用者の指揮命令下に置かれているとはいえないことから、労働時間にあたらないという判決になりました。

実際のご相談について

こういった当番制度などを取り入れている会社さんは多いと思います。
ただ前述のような判決が出ていることを受けて、事業所を出たあとに携帯電話を持たせている時間はすべて労働時間ではない、と考えるのは危ないので気をつけてくださいね。
あくまでもケースバイケースであって、こういう不活動時間の案件は状況によって色々な考え方ができます。
本当に訴訟にならなければわからないところがありますので、労働時間についてはどうか慎重にご判断ください。

そしてこういったことは、結構ご相談いただく部分でもあります。
・当番中に実際どのくらい携帯電話が鳴るのか?
・従業員さんが携帯電話を持っている時間帯に、どの程度の自由があったのか?
・居場所の拘束はあるのか?
・位置はどのくらいなら離れても大丈夫なのか?
・緊急時に対応できなかった時に、従業員さんへの不利益や懲戒があるのか?等
ご相談の際にはこれらのような個別具体的なことを確認して、労働時間になるのか否かの判断についてお話をするようにしています。
もしご判断に悩むことがあるようでしたら、お問い合わせくださいね。

今週はここまでになります。

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