203.残業代割増が5割になる!?

203.残業代割増が5割になる!?-人事・労務の豆知識 Podcast

今回は、4月から中小企業も対象になる、60時間超の残業代が5割増しになる法改正をご紹介しました。
給与計算や、勤怠の集計方法も見直す必要があるかもしれません。
ご確認ください!

2023年4月1日法改正のポイント

2023年4月1日から中小企業さんも月60時間を超える「法定」の時間外労働については5割以上の割増賃金の支給が義務化されます。(現行は2割5分以上です。)
大企業さんにおいては2010年4月から適用されており、現時点(2023年2月)で中小企業さんは適用の猶予をされております。法定割増賃金率の引上げ関係(2009年資料)ー厚生労働省HP

所定労働時間と法定労働時間が異なる場合について

労働時間には「所定」と「法定」の2種類があります。

・所定労働時間→会社の規則で定められる(1日7時間・週35時間 等)
・法定労働時間→労働基準法で定められている(1日8時間・週40時間)

1日あたりの労働時間について休憩時間を1時間として、所定労働時間は9時~17時の1日7時間、などと会社が定めることができます。
この場合でも法定労働時間は1日8時間になるので、下記の図の通り17時~18時まで1時間分の残業は時間外割増賃金の必要はありません。

労働基準法ではこの17時~18時の法定時間内残業に時間外割増2割5分以上は必要なく、通常の労働時間分の賃金だけ支払えばよいことになっております。
こちらについて会社さんによっては、法定時間内残業も時間外割増をつけて賃金を支給している場合があります。(労働基準法は最低労働基準ですのでこの割増賃金については適法です。)
すなわち法定時間内も法定時間外も一緒に「残業時間」としてカウントをしている可能性があるということです。
このような残業時間の管理だと、法定時間外60時間超の把握に支障が出てきますよね。
そのため今後は残業時間について「法定内」「法定外」「法定外60時間超」の3つに分けて管理されるとよろしいかと思います。
※深夜業割増は時間帯により別途管理・支給が必要となります。

休日労働と60時間超の時間外労働の関係について

休日にも「所定」と「法定」の2種類があります。(詳しくはこちらをご参照ください。)
60時間超の時間外労働について、「所定」休日労働は通常の労働日と同様の取り扱いとなります。
「法定」休日労働は下記のような取り扱いとなります。

例えば日曜日を法定休日と定めた場合
日曜日の労働時間については
・60時間超のカウント対象外となる(参考資料1)
・60時間超以後であっても3割5分以上の割増賃金支給でよい(参考資料2)
ということになっております。

参考資料1

中小企業の事業主の皆さまへ 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられますー厚生労働省HP

参考資料2

中小企業の事業主の皆さまへ 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられますー厚生労働省HP

通常の労働時間・時間外労働割増・休日労働割増と同様に、60時間超の時間外労働割増にも深夜業割増は併せて適用されます。
そのため7割5分以上の割増賃金が必要になることがあります。

中小企業の事業主の皆さまへ 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられますー厚生労働省HP

今回の改正によって中小企業さんにおかれましても残業時間の管理・把握をより厳格に行う必要が出てきたり、割増賃金についてのルールも変わりますので、規則や協定の導入・見直しも視野に入れるとよいと思います。
まもなく4月1日に施行ですので事前にご準備ください、ご相談も承っておりますのでお気軽にお問い合わせくださいませ。

その他にPodcastでは下記についてもお話ししております!
・午前休を取ったことなどによる「所定外残業」だけど「法定内残業」となる例
・法定休日の趣旨についてご理解いただきたいこと
・代替休暇付与の難しさ(厚生労働省資料の2~4ページ目をご参照ください)

203.残業代割増が5割になる!?-人事・労務の豆知識 Podcast

今週はここまでになります。

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