初めての人事活動~初めて人を雇うときに必要なこと~

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起業して、代表になったとき、多くの方が1人です。仲間がいる人でも、3人程度でしょう。

今まで勤めていた会社には、人事部や経理部、総務部がありましたが、当然ありません。

まず、必要なのは、事業部であり営業部です。立ち上げたばかりの時は、管理部門は後回しになって当然です。

売り上げが立ち、お金が回ってきたとき、まずは経理部門が必要になります。税理士さんにお願いしたり、入力の事務は外注したりシステム化したりして、何とかします。

そして、「人を入れよう」となったとき、「人事」が初めて必要になるのです。

その時に、よし、社労士に相談しようとなればよいのですが、その場その場で役所に聞いたり、今までの自分の経験で、何となく何とかなってしまいます。

しかし、本当は「やらなくてはいけないこと」「やった方が良いこと」がたくさんあります。

雇用契約・社会保険・給与計算事務・・・絶対に必要になる作業です。

そして実は、・・・かなり間違えている会社が多いのです。

人事業務は、従業員との信頼関係を強くし、やる気を持って働いてもらい、結果的には業績を上げるためにも、本当に大事なことです。新しい会社だからと言って、従業員からしてみれば、しっかりしているのは当たり前です。会社に誤りがあれば、数年後に未払い残業代などが発生して、何百万も支払うことになったりします。

なので、経営者も含め、初めて人事業務をやる人に知っていてもらいたいことを、この記事に書いてみます。

「人事部」がないと、何が困るか?

人事の仕事といえば、採用や研修、人材育成等が上がります。しかし、この業務の専任社員は、小さな会社ではなかなか雇うことができません。30人未満の会社は、人事部自体がないところが多いと思います。

ではだれがやるか。社長・経理の事務担当者・総務の担当者が兼任、というのが多いのではないでしょうか。それでも意外と、なんとかなってしまうのが、人事業務です。

しかし、実はかなりの専門知識が必要です。税金については計算式がはっきりしていますが、雇用については、「会社の定めによる」ところがとても多く、会社にゆだねられている範囲が大きいのです。

また、社員の情報管理もあります。社員の相談窓口も必要です。実は、かなりの事務作業量があります。

具体的に、初めて人を雇うときに必要になる、最低限の「人事の仕事」を見ていきたいと思います。

一番最初の、「人事の仕事」は

人事の仕事は、人に関することです。採用や研修、給与計算労務手続などがありますが、立ち上げたばかりの会社で役員しかいない場合、ほとんど必要ありません。

人を雇うときに必要になること。差し当たって必要なものはこの3つです。

  • 採用
  • 入社手続
  • 給与計算

これらをひとつづつ解説していきます。詳しくはそれぞれ別記事がありますので、そちらもご覧ください。

採用業務のやり方

採用は、人を雇うことです。初めての雇用だと、「この人を雇う事になった」というところからスタートすることも多いと思います。その場合はこの業務は不要ですね。

この記事では、なにかやってもらいたい仕事があり、その仕事ができる人を雇う。それを「採用業務」とします。

採用のやり方は、色々ありますが、このような流れで行います。

募集する→応募があったら選考し合格なら→雇用契約をする

募集の仕方はいくつかありますが、大きく分けて3つ。「広告を出す」「紹介してもらう」「スカウトする」です。

ここまでで、気が付くことはありませんか?そう、採用業務とは、営業業務と同じ流れなのです。

まずは応募がなければ選考できません。こういう人を雇いたい、というペルソナを明確にして、求人広告を出したり紹介会社に依頼したり、知り合いに紹介を依頼したりして、応募してもらうのです。

応募してもらう、という段階は、「問い合わせがあった」と同じ状況です。会社に入社してもらいたい人かを選考すると同時に、この会社に入りたいと思ってもらわなければ、契約に結び付きません。

応募があったら、採用選考を行います。一般的には、書類選考と面接、筆記試験が多いです。会社によっては実技として、何かをやってもらうこともありますね。こちらも採用基準を決めておきましょう。

選考の結果、晴れて入社するとなったら、雇用契約を結ぶことになります。

「入社手続」のやり方

入社が決まったら、手続きをする必要があります。手続きの種類は大きく分けて2種類

  • 雇用契約の手続
  • 社会保険の加入手続

この二つです。ひとつづつ見ていきましょう。

雇用契約の手続

会社から見た雇用契約とは、労働力をお金で買うことです。

雇用契約の労働力とは、その人が会社のために動く「時間」ととらえます。

雇用契約はあくまでも「時間」に対していくら払うかの契約だと理解してください。

「時間ではなく成果でお金を出したい」のであれば、雇用契約ではなく、業務委託契約で委託先を探すようにしてください。

そのため、雇用契約書は、働く時間や場所や業務内容といった、「その人が会社のために、どこで何を何時間するか」と「それに対していくら支払うのか」という内容になります。

ちなみに、労働基準法上では、「雇用契約書」は必ずしも必要ではないのですが、「労働条件を書面で通知すること」とされていますので、最低限「労働条件通知書」を渡さなければなりません。

しかし、今後の労使間の関係を考えますと、雇用契約書としておく方がおすすめです。

また、雇用契約の内容として、就業規則も作るとなおヨシです。

就業規則は、従業員が10人未満の事業所は義務ではありませんが、この会社で働くルールを定めたものですので、雇用契約書には載せていなくても、周知していれば、雇用契約の内容として効果があります。

(労働基準法を知らなくても、日本の会社には適用される、というのと一緒ですね)

社会保険の加入手続

雇用している社員は、社会保険に加入することになります。この手続きは会社が行います。

従業員ごとに手続きが必要な社会保険は次の3つです。

  • 雇用保険
  • 厚生年金
  • 健康保険・介護保険

雇用保険は、ハローワークで手続きします。

厚生年金は、年金事務所で手続きします。

健康保険・介護保険は、協会けんぽまたは健康保険組合で手続きしますが、協会けんぽの場合は年金事務所で、厚生年金と一緒に手続きします。

初めて人を雇うときに、健康保険組合に加入していることはほとんどありませんので、特別な事情がなければ、

「ハローワークと年金事務所の2か所で手続きすればよい!」

と、思ってください。

web上でも手続きできますが、内容をすべて理解していないと手続きができない上、システムが難解なので、初めての手続きは年金事務所とハローワークの窓口で、記載の方法を教えてもらいながら手続きするのがおすすめです。

行きたくないなあ~と思うのであれば、社労士に依頼してください。こういった社会保険の手続きは、社会保険労務士であれば代行することができます。知り合いの社労士の心当たりがなければぜひ恵社労士事務所にお電話くださいね!(03-5335-7905)うちなら電子申請しますので、全国対応可能です!

ちなみに、代表者に報酬が出ている場合は、この時点ですでに厚生年金・健康保険には加入しているはずです。

また、初めての従業員の手続きの時は、労働保険(労災保険と雇用保険を合わせてこう言います)の手続きも必要です。これはハローワークで一緒にできます。

最小限のお金と力で社会保険の手続きを行いたい場合は、

会社の情報と従業員の情報をもって、「ハローワーク」と「年金事務所」に直接行くのが一番手っ取り早いです。

ちなみに、ハローワークと年金事務所はそれぞれ管轄がありますので、自社の住所から管轄を検索していきましょう。一番近いところに行くと違うことがありますので注意です。

東京都内の年金事務所を調べる→https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/tokyo/kankatsu_tokyo.html

東京都内のハローワークを調べる→https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list.html

給与計算

雇用すると必ず必要になるのが、給与計算です。

「月給○○円で!」と決めていても、それは、決まった労働時間に対するお金ですので、遅刻やお休みで労働時間が足りなかったときや、残業や休日出勤して、プラスで払わなければならないことがあります。

また、社会保険に加入していると本人負担分がありますので、今月この人から、いくら徴収すればよいのかを計算し、給与から引く必要があります。

給与は雇用契約で、労働力の対価として支払うとお約束したものですから、計算の仕方を勘違いしていた場合も含めて後々、「契約した金額よりもらっていた金額が低い=未払い」となってしまうこともあります。

後々のリスクという意味でも、従業員との信頼関係という意味でも、未払いは絶対に避けたいところです。

そのため、給与計算は本当にしっかりと行わなければなりません。

給与計算は二つのステップがあります。

  • 支払う金額を計算
  • 控除する金額を計算

こちらもひとつづつ見ていきましょう。

支払う金額を計算

時給○○円、月給○○円、と雇用契約をしていますね。時給の場合は働いた時間を掛ければ出てきます。

月給の場合はどうでしょうか。まず、一カ月に何日・何時間で契約しているかで時給に直します。

遅刻早退、欠勤など、勤務しなかった時間分の金額を引き、残業時間や休日出勤分などの金額を足します。

そうして一カ月にその人に支払う金額が計算できます。

ここで大きなポイントがあります。それは、「勤怠管理」です。

何時間働いたのかがはっきりしなければ、計算ができません。そのため、タイムカードなどでその人の勤務状況を把握し、集計する必要があるのです。

勤怠管理は働きすぎ防止の観点からもやらなければならないのですが、まずは「給与計算するには勤怠管理が絶対必要」と考えてください。

昔ながらのタイムカードを使っている会社もありますが、Excelで自分で記録したものを提出してもらってもいいですし、クラウドの勤怠管理システムで管理してもよいです。

そしてもう一つ。先ほどから何回か出ていますが、「 一カ月に何日・何時間で契約しているか 」を明確にしておく必要があります。

給与計算の計算ルールは、すべてここから始まります。

労基法上、決めなければならないことが決まっています。それは、

  • 始業時間と終業時間
  • 休憩時間
  • 休日

です。

例えば、始業9:00~就業18:00、休憩時間が12:00~13:00だと、一日8時間労働になりますよね。

また、休日が「土曜・日曜」のみだったら、ひと月8~9日がお休みになります。もし、休日が、「土日祝日」であったら・・・「お正月はお休み」としていたら・・・

細かく考えると、ひと月ごとに働く日数って変わってくるんですね。そのカレンダーごとに、毎月時給を計算しなおすのか、年間平均で行うのかは会社が決めます。そのように、基本をもとにどのように計算するのかを、会社が決めて設定しなければなりません。

また、労働基準法で、契約できる時間は決まっています。それが「一日8時間週40時間」です。

これを超えて契約することはできず、もしこれを超えるのであれば「残業」として割増のついた時給を支払うことになります。

控除する金額を計算

支払う金額が確定したら、そこから控除する金額(給与から天引きする金額)を、計算します。

法律で決まっているものと、そうでないものがあります。そうでないものは労使協定を締結し、雇用契約書に記載しなければなりません。

法律で決まっているものは次の項目です。社会保険料と、税金です。

  • 雇用保険・・・当月支給する金額に料率を掛けて計算
  • 厚生年金・・・毎月決まった金額
  • 健康保険・・・毎月決まった金額
  • 介護保険・・・毎月決まった金額※40歳~65歳の人のみ
  • 所得税・・・毎月の課税金額から計算
  • 住民税・・・毎月決まった金額

控除金額を計算し、支給金額から控除金額を引いて、手取りの金額を計算します。

勤怠管理

支給金額計算についてで、勤怠管理は必要、とお話ししました。

勤怠管理は、給与計算するうえでももちろん、長時間労働をしないように管理したり、有給休暇の日数を計算するためにも、必要です。(法律上、出勤簿の作成義務もあります)

以前はタイムカードが多かったのですが、最近はクラウドでの勤怠システムが多くありますので、そちらを使うのがおすすめです。無料で使えるものもありますので探してみてください。

最低限、出勤・退勤の時間が記録できること、管理上は一カ月での勤怠集計したのち、csvでデータがダウンロードできるものがおすすめです。(大体それはできると思いますが)

当社では、ジョブカンというシステムを使っています。slackで打刻ができるというのが決め手になりました。

その他、こういうこともあるよ、と知っておいてほしいこと

手続きが発生するイベント

社会保険に加入した後も、変更などがあると届け出や手続きが必要なことがあります。

その中でもよくあるものを記載します。これだけは覚えておいた方がいいと思います!

従業員

  • 家族を扶養するとき、扶養から外すとき
  • 出産・育児・介護でお休みするとき
  • 住所が変わったとき・名前が変わったとき
  • けがや病気で、長期休んだとき
  • 通勤中や仕事中にけがをしたり、仕事のせいで病気になったとき

会社

  • 移転するとき・社名が変わるとき
  • 支店を出すとき
  • 賞与を出したとき
  • 給与を大きく上げたとき・下げたとき
  • 毎年7月10日に労働保険と社会保険の手続きあり

社員からの相談受付

人を雇って働いてもらう以上、働く上でのいろいろな悩み・提案・疑問点を、誰かが受け止めなければいけません。人事で最も重要な仕事は、私はこれだと思います。

従業員の話を親身になって聞いたうえで、会社からの返答をしっかり伝える。会社が誤っていることもありますが、是正すべきことを是正するように、それをうまく交渉する役割もあります。

また、従業員側に不満を納め、理解してもらわなければならないことも多いです。

法律をわかっていればよいという事ではなく、寄り添えばよいというものでもない、本当に難しい仕事だと思います。

法律で、相談窓口を置かなければならないことというのもあります。

パワハラ・セクハラ・マタハラに関する相談窓口や、パートタイム労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関する相談窓口があります。

基本的に、雇用契約した内容は条件を下げられない

昇給など、条件を上げる場合は良いのですが、下げる場合は従業員の合意が必要です。どうしようもなくなった時に、客観的に合理的に認められるような要因がなければ、たとえ制度で作ったとしても、できないと思った方がいいです。

解雇はできないが、会社から退職を打診することまでは違法ではない

これは本当に、誤解している方が多いのですが、自己都合退職ではない=会社都合=解雇ではありません。

解雇は、従業員の同意を得ていないのに、会社側から一方的に契約を解約することです。

辞めてほしいということを伝えて、わかりました、と合意があれば、「会社都合の合意退職」です。

会社から言い出したのに、自己都合退職にしないといけないと思い込んで、退職届を書かせてしまい、あとでトラブルになるケースも多いです。

退職に伴うトラブルは依然として多いですし、金銭解決となることが多いため、会社に出費という形でダメージが来ます。退職の手続きは本当に慎重にしていただきたいです。

自発的な退職願を出されたとき以外の退職は、一度社労士に相談してほしいと思います!!!!!

最後に

いかがでしたでしょうか。実際に、回り始めてから困ってご相談いただくケースも多くあります。また、最初から完ぺきに整えても、あとで難しくなるケースもあります。

すべてのことが、その会社の方向性、カラーによって、変わってきます。

ここにはスタンダードなことしか書いていませんが、「やりたいこと」があれば、様々な制度を組み合わせて、会社に併せた人事労務の制度を作ることができます。

この記事を書いた私は恵社労士事務所を立ち上げて10年になります。

この記事は社労士としてではなく、自分の実体験で「この時にこれが必要だった!!」と思ったことを、専門家の解説として書いています。起業した方の参考になればうれしいです。

また、本当に困ったら、恵社労士事務所にご依頼くださいませ!!

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